ここ数年注目されてきているパルマの黒豚。
1950年位まで生息していたけれど、1997年に再生されるまでは絶滅していると考えられていた黒豚。
イタリア原生の豚には、パルマの黒豚の他に、チンタセネーゼ、カゼルターナ、カラブレーゼ、モーラ・ロマニョーラ、ネブローディ、マイアーレ・サルドがいます。
マイアーレ・サルド(サルデーニャの豚)は特殊な蚤がいるために、イタリア本土に上陸させることが出来なかったり、モーラ・ロマニョーラは1963年に3頭だけになってしまい、他種の豚と交配するようになったり、、、様々な問題で、ネーラ・パルミジャーネ(パルマの黒豚)も絶滅しているとされていました。
その中では、チンタセネーゼは現在復活し、約250社で養豚されるようになっています。
パルマの黒豚の特徴は、脂身がしっかりとして硬く、長期熟成ハムに適した肉。そして、歴史的には、パルマの洗礼堂の工事で、仕事をパルマの黒豚の脂で支払っていたと言われています。
この種の豚を再生させたグループの一人の農場に行ってきました。
現在では約30社がパルマの黒豚を養豚しています。その中のひとつの農場ですが、ここでは、豚を自然の森の中で生活させています。(放し飼いで豚を生息させているのは、パルマ唯一の農場です。)
8年前、肉の解体業をしていたオーナーはここに50ヘクタールの土地を購入して、パルマの黒豚の再生に力を注ぎました。
頬の下に垂れる肉と目を完全に覆う耳が特徴です。
3か月、3週、と3日の妊娠期間を経て、生まれた子豚は、この特徴を完全に持っているものとそうでないものとを耳に色を付けたピンを付けることによって分け、純粋なパルマ黒豚を再生させます。
訪問の前夜に生まれた子豚。ここでは完全な自然分娩で、母豚が横になった時に、子豚を潰して子豚が死んでしまうことも多いそうです。
生まれてから2か月程の間、他の豚と分けて育ちます。
その後は、森で生活します。
この豚は、180kgから200kgになって、解体されて、肉、サラミ、ハムとなっていくわけですが、この大きさになるのに17~20か月かかります。(プロシュット・ディ・パルマの原料となる豚が150kgになるのに10カ月ですから成長が遅いのもこの黒豚の特徴です。)
この農場ではパルマの黒豚で、サラミ、パンチェッタ、スパッラ・クルド等の他に、年間100本の生ハム、40本の過熱ハムを作っています。
(生ハム)
(加熱ハム)
生ハムの色は赤みがかって、スペインのパタネグラに似た濃い味です。
スライサーでなく、ナイフでそぎ切って食べるのが美味しいと思います。